四面楚歌-悲運の妃-

∴三月



翌日。


欺軍妃将軍による、後宮や宮歌国についての話の為に大広間に集まっていた。



欺軍妃将軍の話はまず、後宮の妃嬪についてだった。

新皇帝・黄秦帝(キシンテイ)の皇后に立后されたのは、范丞相の姪御様であられる、崔皇后(サイコウゴウ)。

その他の妃嬪が13名。


崔皇后…黄秦帝の皇太子時代からの妃であられる方。

天子様よりも、年上で身体が弱い方だという。


現在、天子様には御子はいない。

故に、新皇太子は決まっていない。



「皇后様は国母であり、この後宮の主である事を忘れぬ様に。」


天子様と同じく、皇后様もお護りする事も私達の役目。



すでに多くの妃がいる事に、軍妃候補達の多くは残念そうな顔をしていた。


隣に座る李燗も残念そうな顔をしていたが、小さな声で私に言った。


「皇后様や沢山妃がいるけれど、御子はまだいらっしゃない訳だし…っという事は、皇子を生めばいくら軍妃でも、その地位は安泰になるという事よね?」


確かに。


皇太子は決まっていない上に、まだ1人として御子がおられぬ。


皇子を生み、その子が皇太子となれば地位は安泰だ。


私が頷いて微笑むと、満足した顔をする。



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