四面楚歌-悲運の妃-
声と共に地を蹴り素早く周りの刺客の所まで行き、剣を突き刺す。
ザシュッザシュッ
晏惟達の周りを囲んでいた刺客達は、唸り声を上げて倒れていく。
「め…しゃ…?」
晏惟が私の名を口にしたけれど、今の私には黒い感情のみが支配していた。
返り血が私を染めあげても、剣を振るう事をやめれない。
ここにいる刺客を生きて帰すなど、させてたまるものか。
聖人一族を裏切ったとしとも
聖人一族に生を受け、天子を裏切るなど…
陛下を裏切るなど許せぬ!!
ましてやその命を狙う刺客に成り下がるなどっ!!
『そなたで最後だ!』
私に不敵に笑った刺客は、目を見開いて空を舞う私を見上げた。
ザシュッ
刺客の肩から赤黒い鮮血が噴き上がる。
その血はさらに私の体を赤く染め上げた。
「ぐはっ!うっ、はぁっ!
おのれ…生姫ぃ…!」
倒れてもなお、私を鋭く睨み続ける刺客の真上から見下ろし立つ。
『天子を裏切った事を、地の底で永久の苦しみを感じながら悔いるがよい。
この私がそなたらの魂を、天界になどいけぬ様に見張っといてやる。』
「ぐ…はっ、陽中の陰とはっ…この事…か…!
仮面を付けておっても、この…力…とは…っ
地の底まで…支配する…か…生姫…よ…ぐぅっ!」
『聞こえぬ。』
ザシュ