四面楚歌-悲運の妃-
懐妊に至るに問題ない…
その言葉は聞かずとも分かっている。
私は[生]を司りその名の通り、生をもたらす役目もあるのだ。
その為のこの体だ。
他の妃とは違う…
このまま陛下のお情けを頂けば、皆が望む陛下の御子をこの身に宿すだろう。
後宮にくる馬車の中で、楚殿に問われた言葉を思い出す。
天子様から寵を頂いたらどうするのかと…
私は陛下がお望みならば、御子をお生みすると答えた。
しかし、私にとって最優先は陛下と崔皇后様をお護りする事だ。
例えばこうして診察を受けていても
私が他の妃の様に、陛下の御子を身篭る事だけを求められる日はこない…
私には…この命尽きるまで、いくら望んでもそんな日々はこない
『まるで自らが可哀相な娘の様ではないか。
私は天から落とされた神人と言われる聖人であるのに。
贅沢ではないか…』
鼻で笑って自嘲気味に呟いた。
さあ早く室に戻ろう。
威仔が待っている。