四面楚歌-悲運の妃-


崙矣が刺客一族であったのを、最近まで知らなかった様に
四天王達は滅多に身内の事を話す事はない。


それは隠している訳ではなく、聞けば答えてくれる。


お互いを疑っている訳ではなく、知らなくとも信じ合っているからだ。


それにこの後宮にいればこうして、少しずつ知っていく事で、すぐに知る必要な事ではない。



崙矣の梁家

悒雉の汀家

晏惟の欺家

梛犀の李家


この四家は軍妃にとっては、何人も武に優れた軍妃を輩出してきた一族だ。


先帝後宮軍には、この四家の者がたくさんいてあたりまえだ。


梁副官だけではなく、他にも四家の者はいるのだろう。



梁副官に向き合い頭を下げ返し、欺軍妃副将軍に向き直る。


『この度は黄宋帝後宮軍のご協力に感謝致します。
我々が未熟な故、申し訳なく思います。』


「何を申されるのですか。
先帝の後宮軍とはいえ、今は現皇帝陛下の臣下にございます。
今まで力になれなかったこちらが、謝罪申し上げる側です。」



私達の事を信じ、我ら黄秦帝後宮軍を立ててくださり、後軍になられたのに


四天王と私以外はまだ、戦闘には使えない。


それは黄秦帝後宮軍は出来上がっていないという事だ。


強いては後宮を纏めるべく、軍妃将軍である私の責任だ。


欺軍妃副将軍に謝罪など、される側ではない。


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