四面楚歌-悲運の妃-



軍妃将軍とは名ばかりだ…。


軍妃を纏める事さえできない私は


まだ本当軍妃将軍には、なれていない。


『黄奏帝後宮軍は…黄宋帝後宮軍には及びません。
欺軍妃副将軍が、黄宋帝後宮軍を統べているように、私は…出来ていないのです。』


武術が人より秀でているのは、聖人であるから。


それ故、軍妃将軍となれた。


しかし私は、頭が賢い訳でも回転が早い訳でもない


何より上に立つ者としての、器がないのだ…


聖人という事さえも、名ばかりなのではないかと、思わずにはいられない。


「琴軍妃将軍様は、確かにまだお若く未熟であられる。
しかし、貴女様は私を高評し過ぎです。」


軽く口元に笑みを含ませ、私の目を見据える。


高評し過ぎとは、ご謙遜を申されているのか?


「私が黄宋帝後宮軍を統べられたのは、私が黄宋帝後宮軍の二人目の軍妃将軍であったからです。」



二人…目?


二人目とは…前に、別の誰かが軍妃将軍であったという事か?



黄宋帝は18年在位しておられた中で、幾度か軍妃を増員したであろう。


欺軍妃副将軍のお歳を考えれば、黄宋帝即位からの軍妃であるとも、増員された軍妃ともいえる。


増員された軍妃なれば、前軍妃将軍と一対一で勝たれて、軍妃将軍となったという事だろうか?



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