四面楚歌-悲運の妃-
陛下に寧星公主のお話を聞いた事は何度かあるが、寧星公主のご生母の話は聞いた事がなかった。
寧星公主は軍妃腹だったのか。
しかし、李春宇様がご寵愛されていたなら、呂貴妃に目を付けられなかったのだろうか?
疑問に思ったが、話が逸れてしまうだろうと口にしなかった。
その事はいずれ聞いてみよう。
気をとりなおして、欺軍妃副将軍に向き直る。
「李春宇様は何においても秀でている方で、また人を引き付ける魅力を持った方。
黄宋帝後宮軍を纏め統べたたのは李春宇様なのです。
私はその後を継いだまで。」
いくら李春宇様が黄宋帝後宮軍を纏め統べたとしても、それを継いだ者がなんの魅力がなければ一気に崩れてしまう。
そう思ったが、李春宇様の話をする欺軍妃副将軍の顔が、優しく穏やかで…
その表情が何も言わないで欲しそうな気がして、何も言わなかった。
その後は本題の崔皇后様の護衛についての話に戻った。
次の護衛は黄宋帝後宮軍が引き受け、私と四天王に近衛将軍と共に会うという事だった。