四面楚歌-悲運の妃-
北に羽呻国(ワシンコク)
南に徴言国(チョウゴンコク)
東に角呼国(カクココク)
西に商哭国(ショウナコク)
そして中央が我が宮歌国。
四方を敵国に囲まれた、宮歌国を難儀に思った宮歌国を見守る仙人が、天界の神に頼んで国を守る聖人を授かった。
聖人は8人おり、そろぞれ神から与えられた力を備わっている。
中でも、癒しの力をもつ聖七神は数十年に1度しか生まれないとされ、貴重な聖人。
ここまでの話は誰もが知る聖人伝説で、この先が聖人を含め皇帝に仕えるものしか知らない事だ。
けれど、どこまで宮中の者が聖人の事を知っているかは私にもわからない。
「その聖七神が先帝ご健全の時に80年ぶりに誕生した。
誠にに喜ばしき事だ。」
そう欺軍妃将軍が言うと、軍妃候補達から、歓声の声があがる。
「故に聖七神については、陛下も私たちも詳しい事は知らない。
貴重な上に、唯一陛下と謁見をされない聖人なのだ。
ただ、聖七神はこの世の人と思えぬ美姫であると聞く。」
そう…聖七神は陛下との謁見を許されない。
戦に参じる時も、後宮近くに待機し、必要以上に人前に出る事も許されない。
それが、掟だった。
「欺軍妃将軍。聖七神様が美姫ならば、天子様は妃に御所望になられないのですか?」
突然、1人の軍妃候補が言った。