四面楚歌-悲運の妃-
「欺軍妃将軍様は、聖人にお会いした事があられるのですか?」
また違う娘が問う。
欺軍妃将軍はにっこっと笑い頷いて言った。
「数年前の角呼国との戦で1度だけ。
聖人が参戦して、我が国は護られた。
そのお力は本物であった。」
その答えに皆がざわつく。
民にとっては伝説の聖人だ。
その目でみた者は少ない。
「七神様はおられたのですか?」
「私はないが、現皇帝は少しだけお会いになったそうだ。」
えっ?
その言葉に驚いた。
あの時の事を、陛下は覚えていてくださった…?
思ってもみなかった。
「陛下は七神様のお力を目の前で見たそうだ。」
ざわつく室内。
ほんの一時の出来事だったのに。
覚えていてくださった事が嬉しかった。
陛下…稜稟様の優しさを見た出来事。
あれがなければ、私は今ここにいなかった。
「さぁ、これで私が教える事はすべて終わった。
明日そなた達の三月の成果を期待しているぞ。」
欺軍妃将軍がそう言うと、最後の講義は幕を閉じた。