四面楚歌-悲運の妃-
「陛下であっても誰も、貴女様の素顔を知りません。
故に貴女様に関しては、姿形で寵を得ているのではない事もわかります。」
陛下が私に寵をくださるのは、真はどのような理由なのだろうか?
私の忠誠心から、私は信用出来ると言ってくださった
それだけが理由だろうか?
私こそが范丞相が言っていた、軍妃の軍事力強化の為の謀り事の一段階目では?
たとえそうだとしても……
私が役に立つのなら構わない。
そう思っているのは事実だ。
「貴女様が妃である事よりも、軍妃として…陛下や皇后様の盾を望んでいる事も知っています。
その上で私は申し上げている事、わかってくださいますか?」
劉内侍は本当に私の敵ではないのだろう。
けして甘やかしたりしない。
厳しく、そして時には挑発するように物言い本音を引き出し諭す。
本当に恐い家令だ。
私の心を掻き乱す。
妃でいられたらどんなに楽であったろう。
嫉妬してよい身分であったらどんなに良かっただろう。
それが私の奥底に宿る本音。
しまわなければならないのに、誰かにこうしてこじ開けられたり
自らの愚かさや弱さで、簡単に開いてもしまう心
何度いっそ開けたままでいられたらと望んだか…。