四面楚歌-悲運の妃-



「冥紗ッ!!」



背後から李燗達が叫びながら走ってくる。



悒雉も崙矣も晏惟も梛犀も、その後を追いかけてくる。



「おめでとうッ」



李燗は私に抱きつくと、そう言って涙を流した。



悒雉達も、笑顔でそれを見つめた。



これで三月の軍妃候補達の、苦悩の日々は終わった。


明日、官職が発表され正式に軍妃となる。


この舞妃ノ宮で生活するのも最後となり、明日からは黄麟ノ宮での生活となるのだ。


舞妃ノ宮は修行の際のみに、使うだけとなる。


試験を終えた私達の為に、大広間にて宴が開かれた。


三月で1番豪華な料理や酒が振る舞われ、その美味たる料理に軍妃候補達は三月の苦悩も忘れてしまう程だった。


賑わう大広間をそっと抜け出すと、中庭に行き腰をおろした。



明日は官職を賜り、黄麟ノ宮での自室を賜った後、軍妃将軍として後宮の主である崔皇后に挨拶する事になっている。


冥明様、冥紗はやっとここまで参りました。


この仮面で、不安もございましたが


明日、無事に官職を受け、天子様に一歩近づく事が出来ます。


私のすべては



皇帝陛下の御為に…




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