四面楚歌-悲運の妃-
『これは、私の対となる剣。
とても大切な物。』
そう、包みから出したのは剣。
その大きさは私の背丈の半分程ある物。
刃の部分には聖人にしか読む事の出来ない文字が彫られている。
聖人の村を出る時に、唯一持って出た物だった。
私の為だけに作られた剣。
「家に伝わる剣なのか?」
悒稚が言う。
私は首を振る。
『私のお守りの様な物。』
私が愛しいそうに剣を見ながら言うと、皆はそれ以上何も聞く事なく、荷造りを再開した。
この剣で、天子様をお護りするのだ。
この剣とともに、幼い頃より、修行してきた。
大切な姉妹の様に大切な物。
皆の荷造りが終わった頃、急に舞妃ノ宮は騒がしくなった。
室の外は多くの足音が聞こえる。
李燗達と顔を見合わす。
ついに来た。
発表の時が…
1つの足音が部屋の前で止まると、扉が開けられて宦官が入ってくる。
「これより、そなた達6名の官職を言い渡す。」