四面楚歌-悲運の妃-
笑顔の李燗が近寄って来て、私の顔を覗く。
私の顔を見るとクスクスと笑って言った。
「気にする事はないわ。
冥紗は軍妃将軍だもの。
昭儀はそれ相応だわ。」
李燗…。
私が笑顔を返すと、李燗は私の荷物を手渡した。
「さぁ、黄麟ノ宮へ行こう。
外で案内する宦官が待ちくたびれてる。」
そう言って、皆と部屋を出て黄麟ノ宮に向かう。
たった三月しかいなかった舞妃ノ宮での生活が、頭の中で廻った。
短い様で長かった。
晏惟は四天王とし、九嬪・修媛(シュウエン)を賜り
梛犀は四天王とし、九嬪・充儀(ジョウギ)を賜った。
悒雉・崙矣・晏惟・梛犀の強さに新たに設けられた四天王。
李燗は念願の軍師補佐となった。
皆の三月の努力と苦悩と
天子様をお護りしたい気持ち
そしてきっと
願わくば、天子様の寵を頂きたいという気持ちが
報われた日であった。
―――…
「琴昭儀様、お部屋へご案内致します。」
黄麟ノ宮に着くと、宦官から女官に変わり、室に案内される。
軍妃として黄麟ノ宮での生活の始まりである。