四面楚歌-悲運の妃-


笑顔の李燗が近寄って来て、私の顔を覗く。



私の顔を見るとクスクスと笑って言った。


「気にする事はないわ。
冥紗は軍妃将軍だもの。
昭儀はそれ相応だわ。」



李燗…。


私が笑顔を返すと、李燗は私の荷物を手渡した。


「さぁ、黄麟ノ宮へ行こう。
外で案内する宦官が待ちくたびれてる。」


そう言って、皆と部屋を出て黄麟ノ宮に向かう。


たった三月しかいなかった舞妃ノ宮での生活が、頭の中で廻った。



短い様で長かった。




晏惟は四天王とし、九嬪・修媛(シュウエン)を賜り


梛犀は四天王とし、九嬪・充儀(ジョウギ)を賜った。



悒雉・崙矣・晏惟・梛犀の強さに新たに設けられた四天王。


李燗は念願の軍師補佐となった。


皆の三月の努力と苦悩と



天子様をお護りしたい気持ち


そしてきっと


願わくば、天子様の寵を頂きたいという気持ちが


報われた日であった。




―――…


「琴昭儀様、お部屋へご案内致します。」


黄麟ノ宮に着くと、宦官から女官に変わり、室に案内される。



軍妃として黄麟ノ宮での生活の始まりである。




< 40 / 390 >

この作品をシェア

pagetop