四面楚歌-悲運の妃-



崔皇后様も驚かれている様だったが、急ぎ入口に向かい皇帝陛下がおいでになるのを待つ。


私も崔皇后様の後に行き、頭を深く下げる。


「突然参ってすまない。
琴軍妃将軍が参っておると聞いてな。
面をあげられよ。
琴軍妃将軍。」


低い心地よい声…。


そう言われ、頭をあげる。


4年ぶり…


あの頃より背丈はもちろん伸び


大人に成られた


『皇帝陛下の拝謁を賜りご光栄の極みにございます。』


急なお目通りに、緊張で声が震えた。


陛下は優しく笑い、崔皇后様と椅子に座られた。


笑顔はあの頃とお変わりない…


優しい笑顔…。


「先日の試験、私も遠方より見させていただいた。
見事であった。
故に噂の仮面の軍妃に会うのを楽しみにしていたのだよ。」


あの試験を…


私は会釈をしてお礼を言うと、また笑顔でお返しになられた。


お二人共に優しい笑顔の持ち主だ。


この方達の為に私は使命を果たそう。


再度確認できた。



『皇帝陛下と皇后陛下の御身の為に、軍妃将軍として命有る限りお護り致します。』


もう一度深く頭を下げた。


その後、お二人のお邪魔にならぬ様、早々に部屋を後にした。



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