四面楚歌-悲運の妃-



宋暦15年の皇帝陛下がまだ、14歳であられた頃。


前年に角呼国との戦があったものの、宮歌国は太平であった。


当時の皇太子の吏祇(リシ)公子、旺剞(オウキ)公子、陛下の二人の兄上がご健存であられ、皇后は吏祇公子のご生母の椀(ワン)皇后。

しかし、その椀皇后が、突然亡くなられた。


何者かによって毒を盛られての事だった。


当時の皇帝・黄宋帝は犯人をお探しになられ


それによって、犯人は椀皇后付きの女官が捕まり、処刑された。


しかし、その女官を裏で引いていたのは



当時貴妃であった、現在の稚皇太后だった。


自らが皇后になる為には、皇后が空席でなければならない。


皇后は簡単に廃する事が出来ない故、皇后を葬るしかない。


犯人として捕まり処刑された女官は、最後まで稚皇太后と通じている事を言わなかった。


それ故、黄宋帝はおろか宮廷内の誰も稚皇太后が黒幕である事を知らなかった。



けれど、実のお子である稜稟公子(現皇帝)は母・稚皇太后を疑っておられた。



誰よりも、皇后の地位を欲しがる母を知っていたから。



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