四面楚歌-悲運の妃-
聖人様方と清老師様方が参戦なされた時は、宮歌国の都である黄淋(オウリン)の〔都へ入ることの出来る唯一の門〕である、黄淋門(オウリンモン)まで敵国の軍勢が来てしまっていました。
聖人様方は黄淋門を通さまいと、戦われたのでございます。
冥紗様と清老師様は、宮歌国の宮廷・黄麟城(キリンジョウ)にて、皇族を守るべく待機なされておいででした。
そこで、冥紗様は稜稟(リョウヒン)という13歳になられる公子(コウシ)様とお会いになられました。
稜稟公子様は稚貴妃(チキヒ)様を母上様とし、黄宋帝の3番目の公子様でした。
稜稟様は、傷付いた鳥を見て泣いておられました。
心優しい稜稟公子様を見た冥紗様は、その鳥の傷をお力でお治ししたのです。
その後、戦は聖人様方の活躍によりおさまります。
再び、聖人の村に帰った冥紗様はまた修行の日々を送られます。
しかし、戦の酷さを知った冥紗様は修行する事を苦痛に思いはじめます。
そして、1年後の宋暦15年。
冥紗様8歳の時。
冥紗様は聖人の村を飛び出したのでございます。