四面楚歌-悲運の妃-
「皇太子となられた陛下はそれから命を狙われる身となりました。
何度も危ない目に遭われました。
しかし、それを幾度も回避してきたのです。
それは皇帝に即位した今も続いています。
それ故稚皇太后と呂貴妃の争いは絶えないのです。」
范丞相はそう言って話終える。
稚皇太后が…前皇后を毒殺?
その上、吏祇公子まで…
私の頭は混乱していた。
後宮という場所は権力と欲望が渦巻いているのだ。
皇帝の寵を得たいだけではなく、我が子を皇帝にと…
陛下は稚皇太后のその欲望で、皇帝となったのだ。
皇帝となるまでに、そんな事があったなんて。
でも…なぜ、椀皇后を毒殺したのが稚皇太后と言い切ったのだろう?
陛下は疑っていただけと言っていたし…
私はハっとなり、范丞相の顔を見る。
まさか…
確か、范丞相は稚皇太后とは縁続き…
私が見つめると、范丞相はにやりと笑って言った。
「お気づきになられましたか?そう、稚皇太后を策略を助けて来たのは私です。」
な…なんて事を…!!