四面楚歌-悲運の妃-
皇帝になってしまえば、さらに権力をたてに好き勝手する様になる。
そうなれば、国は乱れ…四方に囲まれた敵に攻めこまれ、国は滅びる。
范丞相の言っている事は最もな事だ。
けれど、椀皇后様は?
なぜ?
「椀皇后はその吏祇公子の行いを知っていたのに、知らぬふりをし続け止めなかった。
宮歌国は一に皇帝二に皇后です。
国の子宮である後宮が乱れれば、宮中も乱れます。
皇后には後宮を太平に保つ器が必要なのです。
その器は椀皇后にはなった…そういう理由です。」
すべてを言い切った范丞相は、そう言って陛下を見つめた。
優しいだけでは国は平定てきない。
昔、清老師がそう言っていたのを思い出した。
国を守り、民を思い豊かにし、太平の世を築くというのは簡単な事ではないのだ。
国を考え、すべてにおいて冷静に物事を進め、優しさと冷酷さの2つをそろって、賢帝となる。
「もう1つだけ申しましょう。わかっておいででしょうが、国を太平の世に出来るのは稜稟様…陛下しかおらぬのです。」
そう范丞相は言うと、悲しそうに顔を歪めた。