四面楚歌-悲運の妃-
陛下の命をまもり、
この帝位争いの終止符を…!
私は陛下をお守りする為に
国を守る為に生まれた。
『命あるかぎり、陛下の御身の為に…。』
そう言い、また深く頭を下げた。
范丞相は私を見て、笑顔で頷いた。
「では、私はこれにて…」
頭をさげると、范丞相は部屋を後にした。
あ…范丞相が下がったなら、私も下がらないと。
そう思い、立ち上がり口を開こうとした時、陛下に手で制された。
「少し2人で話そうではないか。軍妃といえ、そなたは私の妃だ。おかしくあるまい。」
笑顔で言う陛下に、胸が締め付ける。
私は…
妃としてではなく、守る為だけにいる…
それだけではなくなってしまえば、私も嫉妬や妬みが生まれる。
いけない…
もう一度椅子に座り直すと、范丞相に言われてか女官が部屋にお茶を運んで来た。
お茶を受け取り、一口飲み気持ちを落ち着かせる。
「なぜ仮面をつけているのか、欺前軍妃将軍から聞いている。おばあ様との約束とはいえ、取りたくないのか?」