四面楚歌-悲運の妃-
∴警護
――――
――…
「陛下。」
冥紗が出て行ってすぐに、范夷扶が戻って来た。
戻ってくるのならば、はじめから出ていかず、いれば良かったものの…。
「いかがでしたか?琴軍妃将軍は。お二人で少し話された方がいいと思いまして、外させて頂きました。」
笑顔で頭を下げる。
命を狙われ続け、実の母でさえ信用できないで生きてきた。
范夷扶でさえ、信用するまでには時がいった。
だから、冥紗と2人で少し話し、どんな娘なのか確かめたかったのは事実だ。
范夷扶もそれをわかってくれて外してくれたんだろう。
少しの時しか2人で話さなかった。
たった少しの時だけで、まだ何もわからないのに
なぜか信用できると思った。
「琴冥紗は何者なのでしようか…試験を見た時、あの娘には違うものを感じました。」
確かに異常な程、誰よりも強く、目を疑う試験だった。
あれ程の強い者は正直、宮廷に探しても数える程いない。
ましてや11歳の娘だ。
どうして育ってきたのだろうか?
様々な疑問が浮かんだ。
会って話しがしたいと思えた。
冥紗がいれば、後宮が変われる気がした…