四面楚歌-悲運の妃-


―――――…


自室に帰り、少しばかり派手な衣装から大人し目の衣装へと着替える。


髪飾りもいらない。


威仔がお茶を持ってきてくれて、それを飲み一息つく。



さて、どうしたものか…。


稚皇太后と呂貴妃の争いを終わらせるのが一番いいけれど、陛下と恢長公子が生きている限りは続くだろう。


どちらかが、亡きものになった時が終演。


范丞相も陛下もそれをわかっている。


それ故、争いを終わらせる事よりも、まず陛下をお守りする事を私に頼んだ。


私なりに血を流さずに、この争いを終わらせる方法を考えてみよう。


後宮にいる私の方が情報は得られるだろうから、少しでも陛下や范丞相のお力になれるだろう。



後はこの事を悒雉達、四天王にも話すべきか否か。


范丞相は私1人を呼んで、事の内容を話した。



とりあえずは話さない方がいいか…。


知らなくとも陛下をお守りする役目には変わりない。


「琴昭儀様。壁内侍がお見えです。」


威仔の後に壁内侍が続けて入ってくる。


「今夜、陛下は姜賢妃様を黄麟殿に呼ばれました。琴軍妃軍様は入り口の警護をお頼みいたします。四天王様方には四方の警護をお頼みしました。では、そのように…」



それだけ伝えると、すぐに部屋を出ていく。



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