四面楚歌-悲運の妃-



そんな時、宮歌国全域に後宮を守護する、後宮軍の軍妃を集めるという御触れが出ました。



それを聞いた冥紗様は軍妃になり後宮に入り、稜稟様をお護りする事を思いつかれたのでございます。


冥紗様のその意志を聞いた冥明様は

「聖人が後宮に入るなど、あってはならぬ。」


と言って反対なされました。


何度反対しても、引き下がらない冥紗様に冥明様は、条件をお出しになります。

[七神とはこの国で1番美しいと言われる女神である。
軍妃といえど、天子様の妃。
その美貌と聖人である事を明かせば、天子様の寵さえも得られよう。

しかしそなたの目的は寵を得る事にあらず、天子様をお護りする事。

この仮面はそなたの力を封じ、そなたの美貌を隠す。
村を抜けた身だからこそ、顔隠しておらぬが、本来なれば女人となった七神は、人前に顔を出してはならぬのが掟。

後宮に行くのであれば、村を抜けたといえど、それは守らなければならぬ。
仮面を付けて、聖人である事を隠し後宮に入る事が出来るのならば、許そう。]

冥明様が出した条件は、困難なものでありました。


後宮へ軍妃候補をお連れする宦官(カンガン)は出世がかかっている為、連れていく軍妃候補をより美しい者を選ぶのです。


それを知っていた冥明様は、その条件を出されたのです。


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