四面楚歌-悲運の妃-
陛下…?
戸惑いながら、陛下の顔を見る。
陛下は顔を歪め、私の手をもう1度引いた。
!?
陛下の体温が私の身体全体に広がり、鼓動が早くなる。
抱き締められていた。
息が出来ない程強く。
強く…
「怖くはなかったか?大事ないか?さっきはそなたの事を気つかってやれなかった。すまない。」
そう言うとまたぎゅっと強く抱き締めた。
陛下…
こんな私の事を心配してくれるのですね。
『大丈夫です。私はお守りする為にいるのです。命など惜しくありません。ですから私の事などお気になさらないでください。』
そう…
私は陛下の為に存在しているのですから
私の事など…
そっと私の身体から陛下の身体が離れる。
悲しい顔が私の瞳に映る。
陛下はお優しい方…
だから私はあなたが皇帝なれば、命をかけてお守りしたいと思ったのです。
誰かの為にそんな悲しい顔をされる陛下だから…
「そなたの事はなぜか信頼出来ると、初めて会った時から思えた。それが今宵、改めて思えた。私の為に身をていして守る…それは真に思わなければ出来ない事だ。」