四面楚歌-悲運の妃-
「そう。昨夜は助かりました。礼をいいます。」
『いえ、それが役目でございますから。』
そう言葉ん返すと、私の周りをしなやかに歩き、私を見る。
何か?
「私より、4つも下と聞いておるが…体つきといい…私や崔皇后様と変わらぬ。」
私を上から下までもう1度見渡しながら言った。
姜賢妃様は15になられるのか…。
「陛下が…昨夜そなたの話をされた。仲良くする様にと…。」
陛下が姜賢妃様に?
陛下がそう言ってくださった事に、思わず顔がほころぶ。
そんな私を見る姜賢妃様の顔が、歪む。
姜賢妃様…?
姜賢妃はしばらくして、ハっとした顔をすると、笑顔に変わり口を開く。
「お止めして申し訳なかった。またお話いたしましょう。では…」
またしなやかに部屋の方に歩きだす。
さっきの顔は…なんだったのだろう?
不思議に思いながらも、姜賢妃様の背中に一礼すると、また舞妃ノ宮に向かって歩き出した。