四面楚歌-悲運の妃-



舞妃ノ宮に着くと、思いがけない光景が飛び込んできた。


広場で修行している軍妃は、たったの4人で…


しかもそれは、晏惟・梛犀・悒雉・崙矣だった。



「冥紗!!ほら晏惟、言ったでしょ?冥紗は今日ここに来るって!」


私に気づいた悒雉が、木刀を振っていた手を止めて言った。


一斉に4人の視線が私に注がれる。


「冥紗の事だからね、昨日の刺客との戦いに納得出来ず、修行しにくるって思ってた。」


額の汗を袖で拭いながら、悒雉が言った。


そう…刺客は次の手をうってくるハズ。


昨日の調子じゃ、とても陛下は愚か、皆を守れない。

だから、舞妃ノ宮に来た。

「相手をしてくれぬか?冥紗」


崙矣は木刀を目の前に差し出して言った。


笑顔で受け取ると、皆も笑顔になる。



つい最近まで5人でやっていたのに、久しぶりな気がする。



皆、自然と木刀を振る手に力が入る。


昨夜の刺客の事が、皆頭から離れないんだろう。


皆思っている事は一緒だ。


もっと



もっと


もっと強くならなければ…



< 76 / 390 >

この作品をシェア

pagetop