四面楚歌-悲運の妃-
舞妃ノ宮に着くと、思いがけない光景が飛び込んできた。
広場で修行している軍妃は、たったの4人で…
しかもそれは、晏惟・梛犀・悒雉・崙矣だった。
「冥紗!!ほら晏惟、言ったでしょ?冥紗は今日ここに来るって!」
私に気づいた悒雉が、木刀を振っていた手を止めて言った。
一斉に4人の視線が私に注がれる。
「冥紗の事だからね、昨日の刺客との戦いに納得出来ず、修行しにくるって思ってた。」
額の汗を袖で拭いながら、悒雉が言った。
そう…刺客は次の手をうってくるハズ。
昨日の調子じゃ、とても陛下は愚か、皆を守れない。
だから、舞妃ノ宮に来た。
「相手をしてくれぬか?冥紗」
崙矣は木刀を目の前に差し出して言った。
笑顔で受け取ると、皆も笑顔になる。
つい最近まで5人でやっていたのに、久しぶりな気がする。
皆、自然と木刀を振る手に力が入る。
昨夜の刺客の事が、皆頭から離れないんだろう。
皆思っている事は一緒だ。
もっと
もっと
もっと強くならなければ…