四面楚歌-悲運の妃-



范丞相の次の言葉に、体の血の気が引く。


「滅多に会える方ではございませんし…陛下と大神様の謁見に、同席してもらえませんか?」



同席…そんな事すれば、私が後宮に居る事がバレる。


いくら聖人としての気を抑え、仮面をつけていようとも、幼い頃より一緒に育って来た偉罨様には私だとわかってしまうかもしれない。


見つかれば、ここに居られなくなる…



本来ならば七神の私は、陛下と謁見を許されない。


戻れば会えなくなる…


いつもお守りする事が出来なくなる。


震える手をギュと握ると、重い口を開く。


『聖人様にお会いするのは…未熟な私には早すぎます。』



やっと答えた私に、范丞相は顔を歪めた。



「十分過ぎる程です。未熟などではありません。断られるとは思いませんでした。私が琴昭儀様に答えを求めたのが悪かったですね。琴昭儀様にはぜひ会っていただきたい。やはり明日、同席をしていただきます。」


え…?



そんな…そんな…



『…ッ』


断ろうと声を出そうとしたけれど、言葉を発するのを止めた。


同席せよとの命令に、逆らう事は出来ない…。



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