四面楚歌-悲運の妃-
私の顔を真っ直ぐ見つめると、頷きにこりと笑う。
偉罨…様…?
何も言わないでいてくださるのですか?
「歴代一ですか…少し手合わせしてみたいものですね。」
え!?
偉罨様の突然の言葉に驚く。
何を考えていらっしゃるのだろうか?
私と手合わせ?
偉罨様の申し出に陛下もその場にいた者全員が、驚き目を丸くする。
陛下はチラリと范丞相の顔を見ると、范丞相は首を縦に振った。
「聖大神の望みなれば、お受けいたすしかあるまい。冥紗かまわぬか?」
陛下の問いに首を縦に振ることしか出来なかった。
偉罨様は何か考えがあって言ったとしたら、ここは素直に聞くしかない。
今は私が聖人である事を黙っていてくださるけれど、この先まだわからない。
「聖大神と一戦交えるとは誠に光栄である。それを見ることが出来る私も光栄だ。范夷扶、場を整えお連れいたせ。」
陛下の言葉で、準備を始める。
私は衣装を軽い物に着替えると、黄麟城の外へと出た。
長い階段の下に偉罨様が待つ。
不安を落ち着かせる様に、一歩一歩しっかり階段を降りる。