四面楚歌-悲運の妃-
「そなたには他にも話さなければならん事がある。安心いたせ、陛下には何も言わぬ。連れ戻したりもせぬ。」
え?
偉…罨様…?
顔を上げると、偉罨様はまた優しく微笑み、その場から高く飛び上がり、陛下のいる所に降り立つ。
私も偉罨様を追って陛下の元へ行くと、偉罨様は深く頭を下げる。
「陛下、十分手合わせさせていただきました。誠に強い軍妃将軍様でございました。もう一つお願いがございます。」
「聖大神の頼みなら聞こう。」
陛下はにこやかに答える。
「これ程までに強い軍妃将軍様の修行法など気になります。軍妃将軍様と少しお話をさせていただきたい。」
私とちゃんと話す為に、上手く言ってくださったんだ…。
偉罨様の申し出に、陛下は一瞬驚いた表情をして、少し考えると、小さく頷いた。
「そんなに興味を示されたか…。いいでしょう。すぐに部屋を用意させましょう。」
陛下が言うと、范丞相は頭を下げると部屋を用意する為に謁見の間を出ていく。
「陛下、ありがとうございます。」
偉罨様が頭を下げるのを見て、私も陛下に頭を下げる。
顔を上げると、陛下は私に優しく微笑んだ。