四面楚歌-悲運の妃-
―――――…
パタンと扉が閉まる。
お茶を持ってきた女官が出ていって、部屋には私と偉罨様の2人きりになった。
范丞相が用意をしてくれている間に、威仔にまた豪華な衣装に着替えさせられた。
やっぱり頭も重い身体も重いし慣れない…
「見違える様だな。私が知ってる冥紗はまだ子供だったのに。」
向かい側に座る偉罨様が私を下から上まで見ながら言った。
偉罨様もずいぶん大人になられた。
あの頃より背が高くなった。
「私の前だ。仮面を外して顔を見せてくれないか?」
同じ聖人同士だ。
仮面で顔を隠す必要はない。
ゆっくりと仮面を外す。
仮面を外した私を見て、偉罨様は立ち上がり、そっと私の頬に手をさしのべる。
「女人とはこうも変わるものか?いや…そなたは別だな。国一の美姫である七神…。幼い頃より美しかった。」
頬に触れる指が首すじに伝う。
偉罨様…?
ハッと我に返った様な顔すると、偉罨様は悲しく微笑む。
「…そなたにこれから話す事を知ったら、村を出て良かったとなおさら思うであろう。」
え?
村を出てなおさら良かったと思う?