芸人
第12章 有頂天
一時期、トリオ座キングで稼いでいたが、また月10万円の生活に戻り、
そして新たに、コント・ライオンズで復活した。
今では、1ステージが10万円以上になった。
もちろん生活は、派手な、変わっていった。
仕事が、忙しくなるのと同時に、自然と芸人の三拍子でもある、

「飲む 打つ 買う」の生活になっていった。現金収入で、当日、取っ払い。
財布の中には、常に10,20万は入っていた。

仮に、1ステージ10万のギャラとしたら、毎月平均15本やれば
150万円。チップなどを含めたら、営業収入だけで、
年収2000万を超える稼ぎになってきた。
さすがに、これだけ稼いだら、生活も乱れてくる。
ただ貯金は残らず、毎晩、どこかに消えていく。
飲みに行くとやはりもてる。自然と金に群がる女が寄ってくる。
でも何か違う。女だけじゃなく、人が、寄ってきた。
金の切れ目が縁の切れ目を知っていたから、派手に金を使った。
人が離れるのが、常に嫌だった。
でも、どうしても芸人は、クラブなどのいい店にいかず、
小さなスナックなどを転々とする。もちろん一人じゃない。
いつも人を大勢、連れて行く。知らない人まで連れて行く。
どこか見栄を張りたい気持ち、帰るまで芸人でいたい気持ちがあるから
なかなか帰りたくない。自宅に帰ると普通の人に変わるのが嫌だった。
常に、芸人でいたかった。でも家に帰るとまた一人。
寂しい孤独を嫌った。だから毎晩、飲んだ。

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