彼がメガネを外したら…。〜恋のはじまり〜
辛辣で厳しい言葉
大学卒業以来のピンチを迎えてしまった絵里花。年は27歳。そろそろ結婚も考えていた頃だけに、途方にくれてしまう。
職場でも新しい出会いなんて見込めず、もう二度と彼氏なんてできないかもしれない……。
――私といて〝幸せ〟だったのなら、それをこれからも続けていけばいいのに……。
そう思わずにいられない。
崇はあんな曖昧で優しい言葉を並べるだけで〝終わり〟にしようと思っているのだろうか…。
――私は、そんなに物分かりのいい女じゃない。いっそのこと、泣いて困らせてみたら良かった……。
そう思ってみたけれど、崇にとって〝完璧な彼女〟だった絵里花には、そんな器用なことはとても出来なかった。というより、実は、崇の方が一枚上手で、泣く隙さえ与えてくれなかったのかもしれない。
「おい!ボーっとする暇があるのなら、一つでも文書を整理してほしいところなんだが?」
突然、厳しい声が頭の上から降りかかってきて、絵里花は、冷水を浴びせられたように飛び上がった。