彼がメガネを外したら…。〜恋のはじまり〜



すると、礼子は先ほどメールを見て、そのままになっていた絵里花のスマホを手に取り、何やら指を動かしている。

何をしているのかと絵里花が覗き込むと、まさに送信ボタンを押すところだった。


『あなたがなんかに、負けないから!』


という文面を、送った相手は今日子だった。


「……ちょっ…!何やってるの!?」


絵里花は焦って、真っ青になる。


「さあ、後に引けなくなったよ。崇のところへ行っといで!泣いてすがるも良し。捨て身の誘惑をして、その魅力の虜にするのも良し。鬱憤をブチまけて、決裂してくるも良し。とにかく決着つけないと、時間の無駄よ!」


礼子はそう言うと、絵里花をサッサとその居酒屋から追い出した。


絵里花は、礼子に言われるがまま、崇の住むマンションへ向かった。何度も、通ったこの道。まさか、こんな気持ちで辿ることになるなんて……。


でもまだ、どんな結果になるのかは分からない。

崇から「嫌いだ」と、断言されたわけではないのだから、まだ「好きだ」という気持ちも残っているはず……。

何よりも崇は、いつも絵里花を讃美し献身的にその愛情を注いでくれていた。絵里花にとって何よりも大切だった崇の想いが、虚しくなってしまったとは思いたくない。


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