彼がメガネを外したら…。〜恋のはじまり〜
答えを探す絵里花の目には、二人が着ているTシャツが映る。絵里花の知らない、何やらアニメのキャラクターがプリントされたTシャツ。
しかも、おそろい……。
それに毒気を抜かれてしまって、絵里花は何をしにきたのかさえ分からなくなる。
「……え、いや。ここの部屋の鍵を返しておこうと思って。私の部屋の鍵も、返してくれる?」
絵里花は辛うじて、ここに来た理由を思いつき、手にあった鍵を差し出す。すると崇も、
「ああ…」
と頷いてそれを受け取る。
そして居間の方へ行き、戻ってくると絵里花の部屋の鍵も渡してくれた。
「それじゃ、お邪魔しました。二人とも、ホントお似合い。お幸せに」
そう言い残すと、絵里花は背を向けてドアを開けた。二人から何も言葉は帰ってこなかったが、ドアを閉める瞬間、
「なあに、あれ。頭おかしいんじゃないの?」
とヒソヒソ囁く、今日子の声が聞こえた。