愛されたい、だけなのに~先生、幸せって?~【3】
本当に、何も気にすることないんだ。
「まぁ、とりあえず専門学校を卒業しないと、先に進めないけど」
柳先生は、前に進んでいる。
「…櫻井?」
再び歩き出した柳先生に、立ち止まったままの私は腕を引っ張られる。
動かない私に、柳先生は顔を覗き込んでくる。
「柳先生」
近距離で目を合わせた。
「ん?…てか、もう先生じゃないけど」
「あ…そっか…えーと…」
ついクセで、先生て呼んでしまう。
「圭吾でいいよ。皆、呼び捨てだったし」
「えぇ!?」
呼び捨てだなんて…
柳さん。だと、お母さんもそうだしー…
じゃあー…
ドキドキ。
「…圭吾くん」
「はい?」
ふっと笑った、圭吾くん。
ドキドキ。
下の名前を呼んだだけなのに、ドキドキする。