愛されたい、だけなのに~先生、幸せって?~【3】
久しぶりに聞いた母親の声。
[…何か用なの?]
冷たい言い方だが、電話に出てくれただけマシだと思った。
「お願いがあるんだけどー…」
平気で子供を捨てるような母親に、お願いなんかしたくない。
けど、今の私にはこの道しかない。
「一緒に暮らしたい。お母さんと」
[…]
そう言うと、電話の向こうは黙ってしまった。
携帯を持つ手に、力が籠る。
やっぱ、ダメかなー…
ダメ元で電話をしたから、覚悟はできている。
けど、緊張はする。
[…いいけど]
「!」
しばらくの沈黙の後、帰ってきた言葉に驚いた。
[その代わり、自分の生活費は自分で稼ぎなさいよ]
とても、母親とは思えない発言だがとりあえず一安心だ。
「わかった。…うん。じゃあ、明後日に行く」
住所を教えてもらい、電話を切った。
「はぁー…」
思わず出でしまった、溜め息。