愛されたい、だけなのに~先生、幸せって?~【3】
「きゃー!!圭吾!おはよう」
「ねぇ!今日こそ放課後デートしてよ」
毎朝恒例の光景。
柳先生の周りを、数人の女子生徒が囲んでいる。
それを少し離れた場所から見る。
そういえば、柳先生と学校ではまともに喋ったことがない。
休み時間も放課後も、必ず生徒が周りにいる。
会話も、ほとんどが家でしてたような気がする。
「圭吾は何て言ってたの?マナが出ていくって言ったとき」
「え?あー…良かったなって…」
「まぁ、良かったことだけどさ。何かもうちょっと…」
ゴニョゴニョと語尾を濁らした、蘭。
蘭の言いたいことは、わかった。
けど、柳先生は無理には止めない。
いつも、いつも私のことを優先してくれていたから。
「…これでいいんだよ」
ボソッと言った言葉は、蘭には聞こえていなかった。