愛されたい、だけなのに~先生、幸せって?~【3】
って…そうじゃなくてー…
「蘭が帰る前に、櫻井のカバン持ってきてくれたんだけど…」
「!」
蘭が帰る前?
カバン?
ハッとして起き上がり窓の外を見ると、日が暮れ真っ暗だった。
…今、何時ー…?
「櫻井が眠っている間に何回か電話鳴ってて、悪いとは思ったけどお母さんからかと思って電話見たんだけどー…」
バイトの時間!!
「店長さんからの電話だった」
そう言いながら、柳先生がカバンから携帯を出した。
見せられた画面には、コンビニの店長からの着信が何回か入っていた。
「理由を説明したら、ゆっくり休んでって。一生懸命働いてくれるからシフト入れ過ぎてたって逆に謝ってたよ」
「そうですか…」
無断欠勤にならなくて、ほっと一安心するがー…
生活費のためにシフトを入れてもらったのに、減らされては困るー…
俯きながらそんなことを考えていると、ぽんっと頭に大きな手が置かれた。
「…バイト始めたの、この電話で知ったよ」
「!」
顔を上げると、近距離で柳先生と目が合った。
ドキン!
「…っ」
心臓が高鳴った。