愛されたい、だけなのに~先生、幸せって?~【3】
そう自覚した瞬間から、好きな人と一緒に暮らしているという事態にドキドキの毎日。
「櫻井、こっち」
柳先生は夜遅くのシフトの日は、バイト先の近くまで迎えに来てくれる。
それが条件で続けているのもあるけど…
「お疲れ様」
車の助手席に乗ると、いつも温かい紅茶を渡してくれる。
「すいません。ありがとうございます」
受け取った紅茶で、冷えた手を温める。
「いえいえ。じゃあ、帰ろうか」
「はい」
いくら条件とはいえ、迎えに来てもらうのは申し訳ないと思って、一度は断ったこともあるけど¨学校の帰り道だから¨と言われた。
「夕飯何する?寒いから、鍋にしようか?」
「はい。あ…けど、材料がなかったような気がする」
「じゃあ、スーパー寄って帰るか。ついでに、欲しいマンガの発売日だから本屋寄ってもいい?」
「はい」
一緒に過ごす機会が増えてきて、今まで知らなかったことを知ることが多くなった。
料理が好きで、休日は凝った料理に挑戦していたり。
マンガを読むのも好きらしく、毎週欠かさず雑誌を買ってきたり。
ご飯食べた後に、たまにリビングのソファーでうたた寝していたり。
今まで見ようとしてこなかった柳先生の姿が、とても新鮮で毎日が楽しい。
こんな日々が続けばいいのにー…
心の奥底から、そう思った。