愛されたい、だけなのに~先生、幸せって?~【3】
「櫻井さん」
ビク!
突然、背後から名前を呼ばれ身体が跳ねた。
目の前にいる蘭と女子生徒たちの表情は、気まずそうに俯いている。
「櫻井さん」
ドクン。
「…っ」
もう一度名前を呼ばれ、ゆっくりと振り返る。
「一緒に校長室に来なさい」
厳しい顔をした校長先生が、背後に立っていた。
ドクン。
ドクン。
「…はい」
その表情で、やっぱり先生たちにも伝わっているんだとわかった。
「…マナ」
蘭が心配そうに駆け寄ってきた。
「…っ」
"大丈夫だよ"と言いたかったが、言葉が出なかった。
一瞬だけ蘭と目を合わせると、すぐに反らして校長先生の後に付いて行く。
"大丈夫だよ"なんて言えなかった。
一番恐れていたことが、起こってしまった。