愛されたい、だけなのに~先生、幸せって?~【3】
「騒ぎになる前に、柳先生は早退させました」
早退?
俯いていた顔を上げ、校長先生と目を合わせた
。
「あと、柳先生から預かっているものがあります」
預かっているもの?
校長先生は立ち上がり、机の引き出しを開け何かを取り出した。
「退職願いです」
「!?」
白い封筒を片手に、校長先生は再びソファーに座った。
退職…願い…
「…っ」
まさかー…
驚いて、言葉が見つからない。
ソファーとの間にあるテーブルに、白い封筒が置かれた。
確かに、柳先生の字で退職願いと書かれている。
「それと、これは柳先生から櫻井さんにです」
「!」
校長先生は背広のポケットから、白い紙切れを取り出した。
「今日からは柳先生の家に帰ることができなくなるので、櫻井さんはこちらに行くようにとー…」
渡された白い紙切れを見ると、どこかの住所と地図が書かれていた。
「柳先生の実家の住所だそうです。お母様には話をしてあるので、今日からはそちらに帰ってくださいとー…」
柳先生のお母さん家?
今日からは、柳先生の家に帰れない?
その前に、柳先生の退職願いー…
「…ちょっと待って…」
頭を抱え、俯く。
突然起こった出来事のはずなのに、何で柳先生はこんなに準備がいいの?