愛されたい、だけなのに~先生、幸せって?~【3】




「騒ぎになる前に、柳先生は早退させました」


早退?


俯いていた顔を上げ、校長先生と目を合わせた




「あと、柳先生から預かっているものがあります」


預かっているもの?


校長先生は立ち上がり、机の引き出しを開け何かを取り出した。



「退職願いです」

「!?」


白い封筒を片手に、校長先生は再びソファーに座った。


退職…願い…


「…っ」


まさかー…



驚いて、言葉が見つからない。


ソファーとの間にあるテーブルに、白い封筒が置かれた。



確かに、柳先生の字で退職願いと書かれている。


「それと、これは柳先生から櫻井さんにです」



「!」



校長先生は背広のポケットから、白い紙切れを取り出した。


「今日からは柳先生の家に帰ることができなくなるので、櫻井さんはこちらに行くようにとー…」

渡された白い紙切れを見ると、どこかの住所と地図が書かれていた。



「柳先生の実家の住所だそうです。お母様には話をしてあるので、今日からはそちらに帰ってくださいとー…」



柳先生のお母さん家?


今日からは、柳先生の家に帰れない?



その前に、柳先生の退職願いー…




「…ちょっと待って…」


頭を抱え、俯く。



突然起こった出来事のはずなのに、何で柳先生はこんなに準備がいいの?







< 89 / 127 >

この作品をシェア

pagetop