恋のかけ引きはいつも甘くて切なくて


「あ‼︎バス来たよ〜。
バスの定期券どこに入れたっけ。」


バス停で待つこと数分。
少し先からバスが走って来るのが見えた。


私も鞄の中から
バスの定期券を取り出して、
バスが着くのを待つ。







「やばい‼︎ひより‼︎ごめん‼︎」

「へっ⁇」


そんな私の横で未玖は、
焦ったように頭を下げた。



「バスの定期、家に忘れて来ちゃった‼︎」

「え⁉︎」

「次のバスですぐに追いかけるから、
ごめんだけど先に行ってて⁉︎
さっき言った通り、3つ先の
バス停で降りるんだよ⁉︎
あ〜、たぶん同じ制服着た人とか
いると思うからその人達に
ついて行ったら分かるから‼︎
ごめんねっ‼︎また後でね‼︎」


「え、え、えっ⁉︎⁉︎」




未玖は早口でそう言うと、
全速力でマンションへと
走って行ってしまった。
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