恋のかけ引きはいつも甘くて切なくて





「この建物の…1番奥のここ。
3−Dが今日からひよりの
クラスだからな。
心の準備はいいか⁇」


先生は職員室から
少し離れた教室の前で
足を止めた。


「は、はい…。」

「よし。俺が呼んだら
入って来てな。」



ーガラッー




先生が教室のドアを
開けるのと同時に、
私の緊張はピークに達していた。



落ち着け、落ち着けっ…‼︎
未玖もいてくれるし…
大丈夫っ…。





「席に着けー。
えー、今日は転校生を紹介する。」



ーざわざわー


「転校生っ⁇」
「この時期にー⁇」



教室のドアの向こうから、
ざわざわと、声が聞こえてくる。



「ひよりー。入って来い。」



ええーいっ‼︎
今更不安になったって
仕方ないっ…。
よしっ‼︎



先生の合図の後に、
私は意を決して
教室の中に入った。
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