恋のかけ引きはいつも甘くて切なくて





「えっと…
今日からこのクラスに
転校して来ました…。
桜井ひよりです…。
よろしくお願いします。」



なんとも言えない空気に、
逃げ出したくなりながらも
私は小さく頭を下げた。





ーシーンー






嫌だぁ〜‼︎(泣)
静まり返ってる…‼︎
先生助けて〜(泣)





ーパチパチー


「‼︎」




静まり返って
頭を上げられない中、
1つの拍手が鳴り響いた。




ーパチパチパチパチ‼︎ー


すると、さっきまで静かだった
教室がつられるように
拍手で騒がしくなった。




「ってか、めちゃくちゃ
可愛いくない⁉︎」

「うん‼︎ちっちゃくて
なんとも言えない〜っ‼︎」


「でしょ、でしょ⁉︎
あたしが1番最初の
友達なんだからね〜‼︎」



あちらこちらから、
そんな声が聞こえて来る。

それと同時に、未玖が
嬉しそうに紹介する声が聞こえて来た。




良かった…。

けど…
ちっちゃくてって…(泣)

身長を突っ込まれるのは
私にとっては日常茶飯事。

みんな同情するなら
身長をくれっっ(泣)




「静かにしろ〜。
慣れない事だらけで大変だと
思うから色々教えてやってくれよ〜。
じゃあー…ひより。席はあそこ。
未玖の後ろの席に座ってくれ。」


「あ、はいっ。」

先生が指差す席を見ると、
未玖が嬉しそうに
手を振っていた。



「あ。その前に。
お前の隣の席の奴は
少々荒っぽい奴だが…
ま、大丈夫か。」



ん⁇
荒っぽい⁇


先生に言われて隣の席を
見ると、まだ誰も座っていなかった。

どんな人なんだろう…。




そんな事を思いながら、
私は指定された席に着いた。
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