恋のかけ引きはいつも甘くて切なくて
「せぇーーーーふっ‼︎」
ー‼︎ー
そう言いながら教室に
入って来た男の子。
赤茶色の髪に顔がとっても
整っていて綺麗な人。
着崩した制服が何故だか
とても似合っていた。
って…あれ⁇
どこかで見た気が…。
「たーかーさーき。
全然セーフじゃねぇし。
余裕で遅刻。」
「え⁇まじ⁇
俺の携帯壊れてるのかも。
アラームかけたんだけどなー。
許してせんせー。」
その男の子はそう言うと、
先生に甘えるような声で
訴えていた。
「あー。めんどくせぇな。
わかったからとっとと席につかんか。
ただし、次はないと思えよ〜。」
「はーい。すんませんー。」
って、許すんかい‼︎
上野先生ってやっぱ
テキトーな人⁇
「あ。ひよりー。
さっき言ってた隣の席の奴。
そいつの事だから。よろしくな。」
「えっ⁇」
先生はそう言うと、
その男の子を指差した。
ードカッー
その男の子は私の隣の席に腰を下ろす。
じーーーーっ。
わっ…
見られてる‼︎見られてる‼︎
めっちゃ見られてるっっっ‼︎(汗)
鋭い視線を感じた私は、
恐る恐る隣を見た。
ー‼︎ー
この人っ…
よくよく見たら…
今朝バスで助けてくれた人だ…。
だから見覚えがあったんだ。
「あ、あのっ…」
ーぷいっー
「‼︎」
私が声をかけようとした時、
その男の子はぷいっと
そっぽを向いてしまった。