恋のかけ引きはいつも甘くて切なくて
「あれ⁇お父さん⁇」
リビングを覗くと、そこには
いつもより帰りの早い
お父さんが座っていた。
「おお。おかえりひより。」
「今日帰り早いんだね⁇」
「ん⁇あ、ああ。早く終わったんだ。」
私が首をかしげると、
お父さんは少し言葉を
濁らせながら微笑んだ。
「ほら、あなた。
ひよりにはちゃんと話さなくっちゃ。
ひより。そこに座ってちょうだい。」
「おお…。」
「⁇」
私は言われるがまま、
鞄を置いていつもの席に
腰を下ろした。