For*You




「て、てか誰がカップルだー!
こんなドSすぎる恋人とか無理だわっ」


「えー、意外と合ってそうだけどー?
身長差とかいい感じだし?
どこかで2人の噂されてたりー?」


「それはキツイなー」


「陽斗それはこっちのセリフ!」




たまーーーに言われることあるけど。


陽斗と何やかんやお似合いだねって。


嬉しくないってのーっ!





「あ、ほら宏。
お弁当忘れてたよ。
おばさんまたーって怒ってたけど」


「げ……っ。
忘れてた……
ありがと颯姫っ」



腕に提げていたオレのお気に入りの小さなトートバッグを手渡してくれた颯姫。


昔からおっちょこちょいでよく忘れ物をしていて。

その度に颯姫が運良く気付いて持ってきてくれた。




「じゃあ、あたし今日部活の集まりあるから先行くね」


「うん、了解っ」




小さくヒラヒラ手を振ってから小走りで去って行く颯姫の後ろ姿を見送って。




「てか半年記念の話、姫さんに聞かれてなかったわけ?」


「……あ……。
うわ、どうなんだろ!?
颯姫は聞いてても言わなさそうだしぃ……!!」




オレは1人、そのことを考えてヒヤヒヤするのであった…────────










「宏、帰ろー?」


「あれ?
颯姫部活は?」


「もう。
今日からテスト期間だから無しって昨日の夜言ったじゃんー?」


「え、あ……そう言われたら……」


「さては宏ってばテスト勉強全然してないんでしょー?」


「ご、ご名答……」




またもや抜けていたオレをしっかりした颯姫に窘められた放課後。



助け船を出してほしくて同じクラスの陽斗に視線を向けるものの。



「じゃ、オレはこれから美人の中川先生に古典教えてもらうから行くわー」




完、全、無、視、!

ではないか!


しかも得意気なあの笑顔!

なんかむっかつくー!




「は、陽斗ずるい!」


「宏くん、ずるいってどういうことカナ?」


「い、いやいや!
違う違うー!
古典教えてもらえるのがずるいってことでー!
あ、颯姫待ってってー!」
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