For*You



「ふーん?」


「う……疑ってるなぁ……」




オレがしようとすること全部一枚上手な颯姫。




「嘘だよー。
そうだっ、駅前にさ新しいカフェ出来たらしいよ?」


「え、そうなのっ?」


「あまーい物もいっぱいあるって。
行く人挙手!」


「行く行く行きまーす!」


「ふはは。
じゃあ決まりだっ」




嗚呼、とてもとても……



君に敵う気がしないオレなのでありました…────────













「……」


「…………?」


「……」





……んんん……!?



なんでオレは朝から、1つ下の後輩くんに無言で足止めを食らっているのだろうか……


颯姫は今日も部活のミーティングらしく途中で別れた。





「……け、慧冴くん……?」




その後輩くんの名前は慧冴くん。


オレより断然身長も高いし頭も運動神経も良い。


生徒会副会長を務めているわけで。


そして……もう1つ付け加えるとするなら……


オレの“恋敵”でもあった人物。



オレと同じで颯姫に想いを寄せていたが颯姫はこんなオレを選んでくれた。


しかし彼にも不満があることは確かだろう。


この確執が簡単に解けるとも思っていない。




「颯姫さんのことですけど」


「……え、颯姫……?」


「とぼけても無駄ですから」




と、とぼけるぅ!?


オレ……颯姫に何かしてしまった……?


補足を視線で促したオレを何で分からないのかという厳しい視線をぶつけられる。




「颯姫さん、最近元気無いんですよ」


「颯姫が……?」


「ずっと何か考え込んでるんですけど。
遠くに櫻田先輩がいたらボーっと見てるんですよ、哀しそうに」


「……そんな……」




急いで記憶を漁り返してみるけれど。


特にこれといった原因は無い……はず。




「ま、その様子だと思い当たる節が無いみたいですけど。
オレはチャンスだと思ってアタックさせてもらいますから」


「……」


「オレ、まだ諦め切れて無いですし。
櫻田先輩よりオレがお似合いだってこと、そこで見といて貰っていいんで」


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