For*You
違うんだ……。
言えば楽になれるのに、でもそれは自分で見つけたいとも思うことで。
颯姫を幸せにする方法くらいは……
何も出来ないオレが見つけたい。
そんなちっぽけなプライドが……
素直になることを邪魔する。
「……そう」
「……あ、あの颯姫……」
「……今日ちょっと寄るとこあるからここで……バイバイ」
「……う、うん。
また……明日……」
いつもより何故か寂しい別れ。
明日もまた……会えるのに……。
こんなオレでも颯姫を笑顔にしてあげられることって……
どんな事なんだろう……?
颯姫を想う気持ちは……
誰にも負けないけれど…────────
*
「そういや今朝は来ねーのな。
宏んとこの姫さん」
「……うぐ。
……痛いとこ突かないでもらえる、陽斗?」
「珍しー。
さては喧嘩か?」
「他人事だと思って楽しそうにしてー……」
「冗談だっての。
どうしたわけ?」
「実はさぁ……!」
日付は変わって翌日。
いつも颯姫が追い付いてくるはずのポイントでも彼女はやって来ず……。
気になって後ろを振り返っているうちに足はいつの間に学校内に踏み込んでいた。
そして陽斗にここ数日のことを話していた。
すると、みるみるうちに陽斗の顔は険しくなって……
「……思ってた以上だったわ」
「……え?
そんなに深刻……?」
「宏の頭ん中がな」
「なんですと……っ!」
あのなぁ、と陽斗は言葉を続けた。
「あんまり姫さんのためにってばっか1人で考え込まなくていいんだよ」
「え?
いや、でもそれだと……っ!」
「実際、考え込んで状況は好転したわけ?」
「い……いえ……」