あの白い雪のように




「ああ、よかった。

久しぶりだね、白井くん」




僕は彼女に好かれている。

自意識過剰と思われるかもしれないが、
実際にそうなのだ。

男女の関係ではなく、人間として。

何がきっかけかは分からない。

もし今、僕がそのきっかけを知ってタイムリープ出来るものなら、
すぐにそのきっかけを消し去ってしまいたい。

僕は彼女が怖い。

女の人独特の怖さや、怒る時の怖さではない。

ただ、僕は彼女がひたすら怖い。

何が怖いかと聞かれたら答えられないが、
彼女の無意識の遠慮のなさが何よりも怖いのだと思う。

例えば極端な話だ。

彼女が僕の嫌いでたまらない人を殺したとして、
その一部始終を僕が見ていたとして、
それでも彼女は血塗れのままこちらを振り向き、
もう大丈夫だよ、なんて言って僕に微笑みかけるのだろう。

何より怖いのは、犯罪や罪の意識がないからだ。

例え、殺人は犯罪なんだよ、と言ったとしても、
でも貴方はこの人が嫌いだったのでしょう、と何の悪びれもなく聞くのだろう。

僕は本当に現実になるかもしれないことが、
現実にさせてしまうかもしれない彼女が、
何よりも怖いのだ。

……まあ、例えばの話だ。







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