【完】『空を翔べないカナリアは』
でね、と美姫は続ける。
「まぁもう別れてから結構経ってるし、うちのママもそのあと再婚したからもう関係ないんだけど、美優には言わなきゃダメかなって」
「…で、貴慶は何か言ってた?」
感情を抑止ぎみに美優は言った。
「貴慶さんは、美優を傷つけたくないから言わないでおくって、誕生日のときに言ってた」
美優は貴慶の顔が脳裏に浮かんだ。
「…何か貴慶らしいなぁ」
クスクスと美優は笑い始めた。