【完】『空を翔べないカナリアは』
「でも、崚の本性が分かって、人間って見た目が良くてお金があると、人格に難が出るんだなって、よーく分かった」
美姫はサバサバとした表情で、
「そこゆくと、貴慶さんは携帯も覗かないし」
前に美姫の家に遊びに来たとき、席を外していた母の綾香の携帯が、貴慶の目の前で鳴ったことがあった。
「そのとき私もいたけど、チラッと見るだけでさわりもしないで、ママに携帯鳴ってたよってそれだけ」
だから大丈夫、と美姫は言った。
「美優、貴慶さんを離しちゃダメだよ。でなきゃ二度とあんなのあらわれないから」
美姫はシェイクに口をつけた。